実家にキセイしていた頃のこと

10年間も無収入で生きてきたわけで、当然その大半は実家に寄生していました。

突然仕事をやめて実家に戻ってきた私に、両親は「まあ、ゆっくりすればいい」と言ったきり、その後何年経っても不気味なほど何も言いませんでした。
のんきなのか、何か言うほうが却って良くないと考えていたのか

家にいる間、両親と会話することはめったにありませんでしたが、部屋にずっと引きこもっていたわけではなく、冷蔵庫に飲み物を取りに行ったり、夜中にキッチンを使って夜食を作ったり、夕食の時間に起きていたら一緒に食べていました(無言で)

外出も普通にしていて、コンビニに漫画を立ち読みに行くのはほぼ日課でしたし、近所の図書館や映画館に行ったり、夜中にジョギングしたりもしていたので、まあとりあえず暴力を奮ったりとか犯罪を犯したりとか自殺したりとかそういう心配は、無かった…かと、
いや、でも両親とはほとんど会話しなかったからな…
(話しかけられても「うん」とか「いや、いい」みたいなしょっぱい返事しかしないので自然と話しかけられることもなくなった。)

さっき、両親は何も言わなかったって書いたけど、何を考えているのかわからない息子の扱いに困りきって何も言えなかったのかなあ…

まあとりあえず私の方としてはそういう感じで両親の目はあまり気にならなかったのですが、親戚からの目線、特に近所からしょっちゅう遊びに来る兄といとこの子ども達はとてつもないプレッシャーでした。
しかも彼らは年月を追うごとにすくすくと育っていき、こないだまでは言葉も怪しかったのに、いつの間にか小学校に入学したりしていました。
俺が何の生産もせず穀を潰している間に、未来を担う子どもたちがこんなにも大きく…
彼らから「いつもいるこのおじさんは何なんだろう?」と思われているのではと考えると耐えられず、悪い影響を及ぼす前に逃げるようにして家を出ていくことを決めたのでした。